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博多リウマチセミナーで九州中央病院呼吸器内科の古藤洋先生が「関節リウマチ患者の肺病変に関する相談は呼吸器科医にとって試練である」と仰っていました。今回は、呼吸器の専門医にとっても、難しい病態が多く、時に治療に難渋する関節リウマチの肺障害についてお話します。
症状がないものも含めますと、半数以上の関節リウマチの患者さんに何らかの呼吸器系の病気がみられると言われています。問題になる肺の病気の主なものを列挙しますと、以下のようになります。
@間質性肺炎 最も頻度が高い病気です。空咳や息切れがみられます。様々なタイプがありますが、胸部X線写真や胸部CT検査で通常は黒いはずの肺が白っぽく映ること、聴診で雑音が聴かれること、KL-6が高値になることなどで診断します。少しずつ進行することが多いのですが、時に急性増悪することもあり、注意が必要です。必要に応じてステロイドの投与などを行います。
A気管支拡張症 関節リウマチ患者の40%に気管支の拡張性変化がみられるとも言われています。多くは無症状ですが、感染症が増悪しやすいことに注意が必要です。
B気管支炎 呼吸障害が進行する場合などには、気管支鏡検査等の精査が必要となることもあります。
C胸膜炎 関節リウマチ患者の30%程度にみられると言われています。胸水が多く溜まったような場合には治療が必要となりますが、ほとんどは無症状で、臨床的には問題にならないことが多いです。
D薬剤性肺炎 MTXによるものが多いのですが、MTXはアンカードラッグとして関節リウマチ治療には欠かせない薬剤ですので、使用している患者さんが多く、注意が必要です。特に、高齢、糖尿病の合併、過去のDMARDs使用歴、既存のリウマチ性肺障害、低アルブミン血症が危険因子として知られています。MTXによる薬剤性肺炎の場合には直ちにMTXを中止しなければなりません。
E非ホジキンリンパ腫 関節リウマチと悪性疾患の関連については否定的な報告が多いのですが、リンパ腫だけは、危険が高まるとの報告が多くなされています。 F生物学的製剤投与に伴う日和見感染 免疫を抑制された結果、普通では発症しないような弱い病原菌によって起こる感染症を「日和見感染」と言います。具体的には下記のような疾患が問題となることが多いです。 ・結核 ・細菌性肺炎 ・真菌感染 ・非結核性抗酸菌症 主治医は、定期的に血液検査や胸部X線を用いて異常の早期発見に努めていますが、患者さんにも咳や痰、発熱などに注意していただき、異常があれば、すぐに主治医に報告していただくことが重要です。真菌感染の場合には、間質性肺炎との鑑別が問題となります。真菌感染と間質性肺炎では治療法が全く違いますので、疑わしい場合にはβ‐Dグルカンを測定して診断します。
関節リウマチの患者さんで問題になりやすい呼吸器の疾患についてお話ししました。今回は、主な疾患のみに焦点を当て、それぞれの疾患については簡単な説明に止めましたが、リウマチ専門医はこれだけ多くのことに注意して日々の診療を行っています。さらに、適宜、呼吸器の専門医の先生にご相談し、早期発見と早期治療を目指しております。外来で何気なく測っている経皮的酸素飽和度(クリップのような器械を指に挟むタイプが一般的)にも、きちんと理由があるということをご理解いただければと思います。
時節柄、インフルエンザや風邪の流行する季節となっておりますので、重症化するリスクのある関節リウマチ患者さんには、手洗い・うがいの実践をお願いしたいと思います。 |

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| 関節リウマチと肝炎、肝機能障害 |
2012.01.26
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2012年1月22日に博多リウマチセミナーが開催されました。そこで、国立病院機構九州医療センター肝臓センターの中牟田誠先生から、最近注目されている「関節リウマチの治療と肝炎」について興味深いお話を伺いました。ここでは、中牟田先生のお話の中から、実際に患者さんと主治医が気を付けておくべきことを簡単にご紹介しようと思います。
最近の研究から、B型肝炎ウイルスに感染した後、治癒したと考えられていた患者の中にも、肝臓内にごく少量のウイルスが残っていることが分かってきました。普段は肝炎を引き起こさない程度のごく少量のウイルスであっても、免疫が低下した際には肝炎を引き起こす原因となります。関節リウマチの治療では免疫を低下させる作用のある薬剤を使うことが多いので、問題となります。
関節リウマチの治療に免疫抑制作用のある薬剤を安全に使用するために、事前の準備が重要となります。治療に入る前に、まずHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体を測定します。ここからは少し専門的になりますが、 @HBs抗原陽性の場合 抗ウイルス薬治療が必要。 AHBc抗体陽性の場合 感染の既往がある、もしくはキャリアー(感染しているが発症はしていない患者)である。さらに詳しい検査(HBV‐DNA量測定)で、抗ウイルス薬による治療が必要かどうか調べる。場合によっては、定期的にHBV‐DNA量測定を行って、慎重に経過観察する必要がある。 という手順が必要となります。@、Aの場合には、肝臓の専門医を受診していただかなければなりません。予防的に抗ウイルス薬を投与することは、安全性を高める可能性はありますが、現時点では保険上、HBV陽性の患者さんにしかできないことになっています。したがって、B型肝炎ウイルスについては上記方法で診断した上で治療することになります。
次に肝炎が実際に起こった場合についてです。B型肝炎はウイルスに感染した細胞が増えてから発症までに1〜2か月を要するとされています。したがって、生物学的製剤を使用する場合には、投与前のチェックだけではなく、投与後しばらくした時点(次回投与前の時点)でのチェックが重要となります。また、肝障害が出た時点であわててステロイドやメトトレキサートを中止すると、細胞性免疫を増強し、逆効果になる危険性がありますので、注意が必要です。
日本国内ではC型肝炎も多くみられます。C型肝炎の再燃が起こった場合には、インターフェロン治療を行います。しかし、ウイルスの構造が違う(B型肝炎=DNAウイルス、C型肝炎=RNAウイルス)ために、C型肝炎では免疫抑制剤による劇症化は少ないそうです。
肝炎と言うと、一般的には先に上げたB型肝炎とC型肝炎が有名ですが、関節リウマチ患者の多くは多種類の薬剤を使用しているので、薬剤性肝障害も考えなければなりません。薬剤性肝障害の多くは、薬剤に対するアレルギーが原因と考えられており、投与開始から1〜3か月で起こります。そのため、他院で処方されているものも含めて全てのお薬を確認する必要があります。また、現在の薬剤性肝障害の1/4は患者さんが自分で購入した健康食品やサプリメントであると報告されていますので、健康食品やサプリメントを使用していないかどうかを確認することも重要です。薬剤性肝障害の場合には、原因薬剤を中止することで肝機能の改善がみられます。ただし、ステロイドによる肝機能障害の場合には、体重増加や高脂血症、糖尿病の悪化などに伴う脂肪肝が原因であることが多く、注意が必要です。
当院では肝炎ウイルスのチェックに関しては今回の発表でお話のあったガイドラインに沿って行っていますが、健康食品やサプリメントの摂取状況については全ての患者さんで確認しているわけではありません。今のところ、健康食品やサプリメントについては摂取状況、効果、副作用の大規模な報告がありませんが、今後、注視していきたいと思います。 |

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| 新しい年が皆様に良い年でありますように |
2011.12.29
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怒涛のように過ぎた2011年も、あと数日となりました。3月11日の東日本大震災以来、生活が変わった方もおられることと思います。日本の政治も不安定で、世界の経済も激変の年であったと思います。
関節リウマチの診断もヨーロッパとアメリカのリウマチ学会の基準が変わり、抗CCP抗体などのポイントが高くなりました。このため、感度(病気の方を病気と診断できる確率)は上がりましたが、特異度(病気ではない方を病気と診断してしまう確率)は下がりました。早期診断できる基準ではありますが、経験的に他の病気を除外することも必要と言えます。また、これらの学会は2011年新寛解基準というものを発表しました。関節破壊の進行がなく、日常生活の悪化もないことを1〜2年後に期待するための臨床上の寛解基準となります。これは、ボーレン(BOOLEAN)の基準と言われ、疼痛関節、腫脹関節、CRP、患者さん自身の感じている症状の全てが1点以下となった時に、寛解であると考えるものです。
お薬ではシンポニーという月に1度の皮下注が出来ました。点滴のように時間もかからず自己注射のように自分で管理する面倒から解放されました。内服ではジャックスリーという今、治験の最終段階のものが出来ました。この薬剤の効果は素晴らしく、当院でも途中で止めた1人を除いて全員に著効しほとんど症状は治癒した状態にあります。先日、アメリカでプレスリリースがあり、ある程度しゃべれるようになりましたので来年は少しお話できると思います。
お正月のお休みの間、症状がおかしい時、クリニックはお休みですので、いつものように関連病院に検査データとお薬手帳を持って受診してください。 西 区:福岡リハビリテーション病院、白十字病院 城南区:福岡大学病院、福岡鳥飼病院リウマチ科 早良区:国立医療センターリウマチ膠原病内科 中央区:浜の町病院リウマチ膠原病内科 博多区:原三信会病院 東 区:原三信会病院 となっております。軽い風邪などでは、急患センターやその日の救急当番の病院も受診してよろしいかと思いますが、その時もデータやお薬手帳は忘れずにお持ちください。では、良いお正月を。 |

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